賛否両論のドラマ『明日、ママがいない』を観て 1.17の日に


今日は、1月17日。

 

19年前の今日、かの阪神淡路大震災がありました。

私たち神戸生まれ神戸育ちの人間には、「1.17」は忘れられない日です。

 

あの頃、「神戸から来ました」って口にするだけで、

色々な人が「大変だったでしょう!」「かわいそうに」「大丈夫?」と声を掛けてくれました。

確かに、長田区にあった私の家の中も、倒れられるものは全て倒れ、割れることができるものは全て割れ、

建物は半壊。家族の誰が亡くなっていてもおかしくない状態でした。周囲の家屋はほとんど全壊。

そんな中、遠くで燃え盛っている炎がうちまで来るんじゃないか、と恐ろしくて泣いていたことをはっきりと記憶しています。

 

「大変ね」「かわいそうに」「大丈夫?」と多くの人が心配してくれることに対して、私は二つの感情を抱いていました。

それは、「神戸出身ですっていうだけで、大切にされるんだ!」と少し特別になったように感じた気持ち。

そして、「あの体験は、味わってみないと分かんないよ」という複雑でこんがらがった気持ち。

どちらも未熟な子どもらしい、相反する二つの感情。。。

 

その頃の私は、うまく表現できなかったけれど、

百人いれば百通りの震災の受け止め方があるのだと直観的に感じていて、

私自身の話を聞いてないのに、「神戸出身」というだけで

色々な感情を含んだ特別な視線を送られることに対して、相反する二つの感情を持っていたのだと気付きました。

 

 

 

そして、その頃の私は、そこまで全体が見えていなかったけれど、

その後も学校に通え、学用品をほとんど全て救援物資でいただき、たくさんの支援を受けたことで

なんとか生活を繋ぐことができていたという事実に気付き、改めて感じ入るところがありました。

「大変だった」経験だと捉えていたことがおこがましい、

今となっては、深く深く感謝するばかりです。

なによりも、こうして生かされていること。

そして、その当時、神戸のことを考え、行動してくださった全ての方の「気持ち」に助けられ、

今の自分があるのだという事実を再確認した今日でした。

 

 

■■■

 

先日放送された、芦田愛菜ちゃん主演のドラマがやはり話題を呼んでいます。

 

昨日、録画してもらってたのを観てきました。

こういうドラマは一人きりで観るより、色んな立場の人で色んな意見を言い合いながら観るのが一番ですね。

自分の中にも色んな視点があり、「いろいろな私」を飛び移りながら観ていました。

 

あしだまなが

 

ひとことで言うと、ひきこまれました。

「惹き込まれ」なのか、「引き込まれ」なのか。

 

最初から、「いやいやいや…!それはないでしょ!」ってツッコミどころ満載なシーンも連続でしたが、

そういうことをフィクションだと棚に上げれば、見応えのあるドラマだと感じました。

今更言う必要もないかもしれないけれど、子役の演技が本当に光ってる。

「女優」として生きているのもまた、子どもたちであることを考えれば、彼女たちには心から拍手を送りたいと思いました。

 

ドラマなんて、どんなドラマだって当事者が観ればツッコミどころ満載だと思うのです。

許しがたい表現や、問題性を感じる言い回しはもちろん気になりました。

あのドラマが、当事者から批判や反論を受けるのは、ある意味で当然だと思います。

それをある程度想定した上で、放送を決め、伝えることを決めた人の決意を、

とにかく最後まで見守ってみたい。

どこまでやってくれるんだろう。そんな思いです。

 

最後まで「施設はひどい」「親に捨てられた子は可哀想」というスタンスで終わってしまえば、

そりゃ非難囂々だと思うのですが、そうはならないんじゃないかな、と感じさせる匂いがしていました。

 

癖のありすぎる大人の役者たちは、それぞれに何か持ってそうな雰囲気がプンプンしすぎて、

最初は「冷たい大人」だと思ったけど、みんなそうでもないみたい、という展開なのかなーと…

「なんかもうそれ、やり過ぎで、先の展開読めてまうわ!」みたいな人もいっぱいいましたが。笑

 

このドラマを観るために、毎週、ファミリーホームに通うことになりそうです。

たまたま、私にはそれしか選択肢がない訳なんですが、それはそれでよく考えると不思議な図です。

そこにも、かなり色々な事情を持った子が生活している訳です。

高校生以上の子たちが多く、ドラマに興味がない子は始めっから全く観ていないので、

シリアスになり過ぎることもなく、それでいながら、みんな色々と感じながら観ているのだと思います。

 

私はずーっと「現実は小説より奇なり」だと思っていて、その思いは今でも変わらないですが、

フィクションを題材にして、同じ土俵の上で議論を交わすのは意義があることだと思います。

 

 

今、施設に暮らす子どもたちもこのドラマを目にする機会があるのでしょうか。

初回で視聴率14%を超え、そしてその中での描写が既に色々と話題になっていて、

きっと「女王の教室」の時のように、これから子どもたちの世界でもこのドラマが話題になっていくことは必至だと思います。

ここまで話題になると確かに、

「ドラマを観た子どもが、施設に住んでいる子を、明日から『ポスト』なんて呼び始めるんじゃないか!」

と大人が心配したくなる気持ちは、分からなくはないです。

 

だけど。

 

今のこのドラマをめぐる議論には、「子どもの声」がない。今のところ、ただ大人が騒いでるだけです。

過剰に影響を心配するのも、娯楽だから楽しめばいいと割り切っているのも、大人たちです。

 

子どもは大人が思っているよりずっと賢くって、子どもたちの方が、本質を見抜く力があるんじゃないかな。

 

なんだか、そう感じています。

 

 

 

■■■

 

 

「大変ね」「かわいそうに」という目で見られることで湧き上がった二つの感情は、

きっと「当事者」と呼ばれる立場の者が抱く、

周囲の人の「きっとこうだろう」というステレオタイプなイメージに対する違和感、反発だったと思います。

 

 

 

さあ、議論が始まりました。

 

本当の当事者である子どもたちの声が登場するのは、

本当に大切なことが語られ始めるのは、いつ頃からでしょうか。

 

子どもたちが語るために考えておかねばならないことが、たくさんあります。

着々と準備を進めながら、機が熟すのを待ちたいと思います。

 

 

日本を、変える第一歩に。

そうするかしないかは、これから次第、自分次第です。


About Mutsumi

龍庵塾でブログを担当している「むっちゃん」です。 ペンネーム:芦田むつみ コモンセンス・ペアレンティング・トレーナー


6 thoughts on “賛否両論のドラマ『明日、ママがいない』を観て 1.17の日に

    • Mutsumi Post author

      イブさん
      今回のドラマの件は、どういう方向にいくのか未知数ですが
      何らかの大きな影響を与えていくと思います。
      もちろん怖い面もいっぱいありますが、
      悪影響だけで終わらせることだけは避けたいですね。

  • 中山理美

    はじめまして。
    CAPをやったり 施設に勤務したり  一人親家庭の支援を仕事としていた経験から申し上げますと、あまりにも人権の配慮がなさすぎるドラマです。
    子供たちが本質を見抜く力を持っていることは確かですが、本質を見抜く力をポジティブに育ててあげたほうがいいと思いますし、大体小学生が夜の10時からのドラマを見るのもどうかと思います。
    大体子供たちがかならず素直に本質を見抜く力を持っているかどうかも 環境によっては厳しいことが多いのではないでしょうか。
    もうお読みになられたかとは思いますが、以下の文章に子供たちを傷つけるという危険性についてまとめられていますのでご参考までにどうぞ。

    日テレのドラマ「明日、ママがいない」への抗議問題。施設の子どもに対する「想像力の欠如」と「加害性」
    http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20140118-00031720/

    • Mutsumi Post author

      中山さま
      貴重なコメントありがとうございます。
      ごもっともな意見だと思います。そして、掲載してくださっているまとめは、大変分かりやすくまとまっていますよね。
      中山さまのコメントで、説明不十分だったところが大きかったなと反省しました。
      「本質を見抜く」ことは、子どもたちが持っている力だけれど、確かにそれが発現できない状況や年齢の子も大勢いますね。
      おっしゃるように「環境によっては厳しい」と思います。
      子どもって、そういう力を持ってるから、大丈夫でしょ、という風には全く考えてはいません。
      あまりにも人権の配慮がないドラマだというご指摘は全くその通りで、
      制作者側のあまりにも失礼な描写は、私も当然それでいいとは思っていません。
      CAP、施設勤務、一人親家庭支援、、本当に素晴らしい取り組みをされてらっしゃる行動派の方だと思います。
      こうして私の表現の至らなさを教えていただけたことで、改めて考えるところがたくさんありました。
      ご気分を害されるところがあったのなら、失礼しました。
      今後とも、いろいろとご教示ください。

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